概要・起源 (總說與緣起)

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原住民族の文学は先史時代の口承にルーツを持ち、神話、物語、伝説、儀式、歌など、そのジャンルは多岐にわたります。これらには、各部族集団の言語の独自性が含まれており、自然環境や人間社会との対峙で起きたコミュニティの挑戦と変遷が語られ、独自の文化、信念、価値観が示されると同時に、異なる時空間における原住民族のイメージが記録、描写されています。これらはすべて台湾特有の貴重な文化財といえるものです。
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図説1:展示会の実際の様子

図説2:タオ族のチヌリクラン(カヌーに似た木造漁船)
制作者:シャマン・ラポガン(Syaman Rapongan)。高校を卒業後、台湾本島へ渡り、アルバイトをして生活。台北で仕事をしながら大学へ通う。その後、就職し、原住民族運動に参加するなど放浪と衝突の日々を送る。1989年、故郷の蘭嶼へ移住し、タオ族の男たちの仕事を改めて学ぶ。魚突き漁で生計を立てる一方で、漁船造りも彼にとっての重要なマイルストーンとなっている。本展示作品は2004年に完成。

図説3:月の光 ー AR写真

図説4:トビウオ祭り ー AR写真

図説5:あなたは私のことを理解している ー AR写真

“私のことを知っていますか”(你認識我嗎)

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元々穏やかであった部族の暮らしは、ある日、外来異民族の出現、そして疫病の発生を境に一転し、原住民族は山奥への移動を強いられました。

さらに、日本統治時代には、植民地政策により、原住民族は高山から降りて生活することを余儀なくされました。この時期に日本の教育を受けたごく一部の原住民のエリートたちは、身につけた日本語で創作し、部族の歴史を記録し、歌を作りました。
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図説1:展示会の実際の様子

図説2:陸森寶(Balriwakes)『陸森寶自伝』
タンスの底から見つかった、現存する陸氏の唯一の手書き原稿であり、日本語のひらがなをプユマ語にあてて綴ったものである。陸森寶氏の幼少期の様子が生き生きとした言葉で記されている。

図説3:ワリス・ノカン(Walis Nokan)「1930年について。霧社」手稿
1930年に発生した霧社事件を題材とした、中国語で書かれた現代詩。桜を主題に5段に分けて構成されている。

図説4: いのしし、キョン、クロヒヨドリ(Haipis)ー AR写真

「“原住民”への名称改名」-自らのために戦う (正名,為自己而戰)

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1949年、中国国民党が台湾に上陸し、文学史上での「再植民地化」が始まると、母語は再び消滅の危機にさらされました。1960年代には生活苦を反映した林班歌(林務局(営林署)の森林整備の仕事を終えたあと、各部落の原住民たちが集まって順番に歌っていた自作の歌)が多くの原住民にとっての集合的記憶となりました。

1980年代、原住民の権利意識と組織化が進み、多くの原住民作家が一人称の主体として新聞に文章を発表するようになりました。1993年に『山海文化』が創刊されてからは、主体者自らが声を上げる場がさらに広がり、原住民文学をどう定義するかが文壇でも検討されるようになりました。
2000年代初頭からは、より多くの原住民作家が中国語を媒体として作品を発表し、後世の原住民の子孫たちに祖霊と対話をするための手掛かりを残しています。
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図説1、2:展示会の実際の様子

図説3:アーロンロン・サキヌ(Sakinu Yalonglong)『イノシシ・ムササビ・サキヌ』教科書
アーロンロン‧サキヌ(Sakinu Yalonglong)、パイワン族。祖父母や父から教わった狩猟文化について執筆し、文字を通して生態系の知識や伝統的な価値観を次の世代に伝えたいと願っている。「山猪学校,飛鼠大学(イノシシ学校、ムササビ大学)」の文章が小学校の教材に導入されたほか、ハーバード大学応用中国語学科の指定図書になり、映画化もされた。

図説4:隔月刊誌『山海文化』(創刊号)
『山海文化』の創刊は、原住民が自らの文学的な才能、芸術的な想像力、文化に対する見解、独自の政治・経済観などを表現する文化的なプラットフォームを提供した。 原住民のアイデンティティを構築する長いプロセスの中で、拠点、そして橋渡しとしての重要な役割を担い、マスメディア規制の解禁後は廃刊となったものの、30年近く経つ今もなお、文学賞やモノグラフ出版の形でその価値が見直され、原住民の貴重な文化的財産を守り続けている。

“あなたは私のことを理解している” (你了解我的明白)

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歴史的な、または現代社会の変化の中で、自らの郷里を去ることを強いられた多くの原住民族にとって、「故郷に帰る」ことは、人生の重要な課題、そして文学のテーマとなっています。多くの原住民作家の作品の中に登場する、様々なシンボルを借用して記された、故郷の曲がりくねった旧道の景色の描写は、かつての煌めきにあふれた、確かな生活風景を、若い部族民たちに思い起こさせるとともに、感銘を与えてきました。また、主流の社会とは対照的に、原住民社会の中で女性の多くは尊敬され、影響力を持ち、伝統文化がさまざまな攻撃にさらされたとき、しばしば優れた回復力、適応力、寛容さを発揮します。このことは、原住民の女性作家の繊細な描写や常識にとらわれないテーマからも伺い知ることができます。

台湾原住民族の文学作品を通して、異なる文化の考え方や価値観を理解し、多様性を尊重する意味を実践するとともに、台湾が世界に残した貴重な文化の贈り物を共に守っていきましょう。
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図説1:展示会の実際の様子

図説2:サリラン(Salizan)兵役時代のノート
サリラン(Salizan Takisvilainan)、ブヌン族。詩中にtina(ブヌン語で「母」の意味)の言葉を織り交ぜた作品を多く手掛ける。近年は、部族の石板造りの家屋の復元など伝統的な分野の研究にも取り組み、高山ブヌン族の担ぎ手(ポーター)の話『用頭帶背起一座座山(ヘッドバンドで山々を担ぐ)』を初めてルポタージュの形で記した。 ノートは作家提供。

図説3:リカラッ・アウー(Liglave A-wu)
作家のプロフィール写真、撮影者:何経泰、文化資産作家の姿シリーズプロジェクト。

図説4:AR写真

台湾の原住民族を知る出発点 (認識臺灣原住民的起點)

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台湾の原住民族には、メディアで一般的に紹介されているような歌や踊りを得意とする特徴のほかにも、まだあまり知られていない物語や豊かな文化を数多く有しています。彼らは、100年以上我々とこの台湾の地を共にし、奮闘してきました。私たちが原住民族と互いをより理解し合い、真の意味で出会うとき、いわゆる「移行期正義(ある社会において発生した大規模な人権侵害に対してその社会が向き合い対処する試み)」は、誠実な友情のもとで意義ある実践となるのです。

本特別展では、関連書籍、映像観賞、原住民族言語の学習、配布チラシからアクセスして参加する「Q&A」ゲームなど、多面的な探究を通して原住民の“私のこと”を更に知ることができる、新しい出発点を用意しています。
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図説1:展示会の実際の様子

図説2:視聴覚エリア
本エリアでは、本館所蔵のアウヴィニ(Auvini)バダイ(Badai)、ヴァヴァ(Vava)の旧好茶(Kucapungane)ドキュメンタリー『回家的路(Way Back Home)』、ロゲ・リヴォク(Lifok'Oteng)のビデオインタビュー、チバン タキヒュナン(Tiban Taki-Hunang)による提供のブクン(Bukun)のルーツ探しドキュメンタリー『山棕月影』の映像資料が観られます。

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