お腹いっぱい読む食の本──台湾珍味文学展

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生活の中で「味わう」文学。日常生活でお馴染みの薪、米、油、塩、醤油、酢、お茶が、文学によりさまざまな味に変化します!台湾の食べ物、カラフルで多様な食文化に文字のイメージを組み合わせ、味の新体験を巻き起こします。作家たちの言葉を通じ、軽食、主食、おやつ、飲み物、本場の代表的なコース料理など、夢のような思い出の味をゲットしましょう。

お待たせしました!「お腹いっぱい読む食の本 ──台湾珍味文学展」へようこそ。33品の文学料理を楽しむ準備はできましたか?ゆっくり味わって、じっくり楽しんで、台湾人作家が書き記した独特の味わいや豊かな口当たりを心ゆくまでお楽しみください。美味しさが口の中でとろけ、香りが口に留り、酸味、甘味、苦み、辛み、塩味、渋み、生臭み、鼻にツーンとくる辛みの刺激を感じましょう。本日は、文学であなたのお好きな料理にどんな味付けをしますか?

【高効率コース料理】菜粽

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コース料理の紹介:
非常に忙しく、お腹がペコペコなとき、菜粽なら30秒で解決。遅刻することもありません。3分で作れる肉燥(豚肉そぼろ)即席めんのいい匂いで一人の夜食も寂しくありません!まだメニューのタブレットの上で指を滑らせてるんですか効率化が重視されている時代、「食べること」も効率第一の賢い人物になりましょう。
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府城人(台南人)は、軽食であっても洗練されたものが好きです。例えば、炒鱔魚(タウナギ炒め)、米糕(おこわ)、魚丸湯(魚のすり身団子スープ)、碗粿(台湾風茶碗蒸し)などは、どれも最高のおいしさをめざしています。美味しさを追求するためには努力が必要だ。朝ごはんを焼餅(シャオビン)、油條(中華揚げパン)、豆乳にする人は少なくなり、かわりに大きな菜粽と日本のお味噌汁ですませている。
最高の菜粽は、家から一番遠い「下大道」廟の前にある屋台である。そこの菜粽は特に大きく、ピーナッツも特に多い気がする。竹皮を剥くとさわやかな香りが鼻に抜け、また、蒸したもち米とピーナッツには適度なもっちりとした歯応えがあり、口の中でとろけるような感覚がする。

葉石涛「吃粽菜(粽菜を食べる)」1994
『台湾文学の展望』
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著者について:
葉石涛の作品ジャンルは論述、小説などです。戦後初期から中国語を勉強し始めました。1951年にある事情によって逮捕され、投獄されてからは創作活動を停止し、1965年にやっと文壇に復活しました。1960年代中期から、貧困に苦しむ身分の低い者の運命を描いた『葫蘆巷春夢(葫蘆巷の春夢)』など、大量の小説を書き始めました。1980年代に戒厳令が解除された後は、白色テロ、二・二八事件を背景とした自伝的な性質が色濃い、『台湾男子簡阿淘(チェンアタオ)』などの作品があります。文学評論では、台湾初の現代文学史『台湾文学史綱』が文壇の注目を最も集めました。台湾文学研究における立会人であるし、基礎を築いてくれた人でもあります。

【高効率コース料理】即席めん

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お馴染みのにおいがコンロの鍋から漂ってくる。何のにおいだろう?彼は時空が歪み、自分が頭を丸めた兵隊になったかのように感じた ……肉燥(豚肉そぼろ)だ!即席めんの肉燥包(かやくの肉燥が入った小包)!

郭強生「何必回味(なぜ振り返る必要があるのか)」 1997
『情人上菜(恋人の食事)』
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著者について:
郭強生は現在、国立台北教育大学の言語および創作学科の教授で、作品ジャンルは論述、散文、小説、脚本などに渡ります。作家、学者、文化評論家、舞台制作、ディレクターなど、さまざまな顔を持っています。1990年代、小説により文壇に台頭しました。朱天文は郭強生の小説について、「時代の空気を自然に醸し出している」と表現しました。最近の作品に、『何不認真来悲傷(なぜ真面目に悲しまないのか)』『尋琴者』などがあります。

【高効率コース料理】アイスキャンディー

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アイスキャンディー売りが町から町へと売り歩く。子供たちはすごく敏感で、アイスキャンディー売りがまだ遠くにいるのに、もう聞こえているのだ。

胡民祥「〈糖蔥及枝仔冰〉葱飴とアイスキャンデー」1996
『茉里鄉紀事』
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著者について:
胡民祥、胡民祥の作品ジャンルは論述、詩、散文などです。作品には異国での生活体験や故郷を偲ぶ気持ちが溢れています。胡民祥は台語文学を推進するという理念で、言語、形式、創作を題材にして具体的に実践し、「台湾語で台語文学の典範を書く」ことを主張しました。また、台湾の主体性や母国語の文学の確立などのテーマについて深く思索しました。

【痛風コース料理】蚵仔煎(牡蠣オムレツ)

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コース料理の紹介:
プリン体を摂りすぎると痛風になりやすい!?それは後で考えましょう。まだ痛風のことは言わないでください。新鮮でふっくらとした牡蠣、カニ味噌がぎっしり詰まった秋のカニが、冷たいビールとどんなに合うか知っていますか?痛風?高尿酸血症?気にしない!まずは食べてから!
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はじめに鉄板に牡蠣と野菜を乗せ、水で溶いたさつまいもでん粉、溶き卵を加える。火にかけると蒸気が立ち上って香りが辺りに広がり、油が元気に踊りだす。フライパンの上の蚵仔煎(牡蠣オムレツ)が少し黄色くなったら裏返して焼き続けたら、すくい上げてお皿に盛り付け、甜辣醤(甘辛ソース)をかけるのだ。

焦桐「蚵仔煎(牡蠣オムレツ)」 2009
『台湾の味』
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著者について:
焦桐は、二魚文化事業グループの創設者です。焦桐の作品ジャンルは論述、詩、散文、児童文学などです。近年は飲食文化に力を注ぎ、『飲食』雑誌を創刊。また、飲食やグルメに関するさまざまなイベントを企画したり文章を発表したりしています。関連作品に、『味わいフォルモサ』『蔬果歳時記(野菜と果物の歳時記)』などがあります。

【痛風コース料理】カニ

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左手持来莫笑狂,穴居公子本無腸。
登盤肉重螯雙剪,入饌膏肥殼一筐。
且向樽前陪蟻綠,不容口裡肆雌黄。
當筵知有調羹者,早備紅椒和紫薑。

林資銓「蟹之三」日本統治時代
『全台詩』第29冊

鑑賞と分析:
カニの足を折ってぎっしり詰まった新鮮な肉を取り出し、甲羅を外してやわらかく濃厚なカニ味噌を味わい、清酒を飲みながら、唐辛子、生姜をつけて食べましょう。いつもカニ歩きしていても、口の中に入れてしまえば暴れることはできません。あはは!
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著者について:
林資銓、字は仲衡、号は壺隠。台湾の名家、霧峰林家の子孫として台中霧峰で生まれました。その詩は苦く渋い悲しさに満ちており、非常に感動させられます。代表作は『仲衡詩集』で、内容は主に旅行記、風景の描写、詠史(歴史上の事柄を題材とした詩歌)、詠物(自然の風物を題材とした詩歌)、酬唱(詩の唱和)などです。

【原動力コース料理】魚

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コース料理の紹介:
台湾原住民の料理には、山のものも海のものも、さまざまのものが含まれています。空を飛ぶもの、水中を泳ぐもの、陸上を歩くものが含まれているという特徴があります。海の新鮮な旨味、山林の野生の味など、大地からのエッセンスが凝縮されています。自然界のすべてに対する賞賛と感謝を詰め込み、心を込めて醸造した小米酒(粟酒)は、と~~~~~~~~ても素晴らしいもの!今すぐ口を大きく開けて思いっきり味わってみましょう!
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タオ族は魚を食べる。海中の魚の優美な姿、魚の美しさ、魚の賢さ、魚の強靭な性格、魚の団結力。「海中の魚の習性を食す」ことに、私たちは文化的意味を与えたのだ。

シャマン・ラポガン(Shaman Rapogan)「達悟族吃魚的文化(タオ族の魚食文化)」 2002
『航海家的臉(航海者の顔)』
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著者について:
シャマン・ラポガン(Shaman Rapogan)、タオ族。作品ジャンルは散文、小説など。小説ではタオ族の神話について語り、散文では蘭嶼と台湾の2つの社会に身を置く自身の心境の変化を描いています。個人と部族民の感情を表現し、台湾原住民が自身の文化を肯定するよう呼びかけています。作品には『天空的眼睛(空の目)』『大海浮夢(大海に生きる夢)』『海浪的記憶(海波の記憶)』などがあります。

【原動力コース料理】小米酒(粟酒)

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さまざまなお酒がありますが、成分が「射耳祭」「祭典」「お酒の注文」「敬拜」で、アルコール濃度が記載されていないお酒は見つけることはできないでしょう。「霧の中でただよい続ける」香り。原住民の感覚で醸造された『小米酒(粟酒)』です。

図書館のアルバイト学生が優しく言った。「集落の分館に行って探してみて!」

サリラン(Salizan Takisvilainan Islituan)「我在図書館找一本酒(図書館でお酒を探す)」 2011
『我在図書館找一本酒(図書館でお酒を探す)』
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著者について:
花蓮県卓渓郷の中平集落(Nakahila)で育ち、民族教育支援教師を務めました。『部落的灯火(部落の灯火)』『祖居地・部落・人(ホームランド・集落・人)』などの作品があります。

【原動力コース料理】キョンのベーコン

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貴重なキョンのベーコンを彼女が竹筒から慎重にお碗に移したその瞬間、ベーコン独特の香りが小さな病室に充満した。瓦旦(ワタン)は座りなおし、手でつかんでベーコンを口に入れ、美味しそうに噛みだした。

リムイ・アキ(Rimuy Aki)「探病(お見舞い)」 2010
『山櫻花的故郷(山桜の故郷)』
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著者について:
リムイ・アキ(Rimuy Aki)作品ジャンルは主に散文と小説です。小説の内容は滑らかかつ平易で、原住民という制約から脱し、女性の観点から生活に切り込んだテーマで解釈しています。貧富の差やその比較、時代の移り変わりなどを通じてその姿を繊細かつしっかりと文章に表現しています。『懐郷』『山櫻花的故郷(山桜の故郷)』などの作品があります。

【甘党コース料理】甜粽(甘いちまき)

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コース料理の紹介:
甘党の大好物、やめられない愛しの甘さは、一口一口がまるで真夏の熱い恋のよう。「君は僕の愛する人、僕は君のハニー~」。お菓子、デザート、甜粽(甘いちまき)、甘い飲み物は、未婚、新婚の男女、老夫婦、姉さん女房の夫婦、年下夫の夫婦で一緒に楽しむにおすすめです。菩薩が柳の枝をつけた甘露水のように15分で孤独にさようなら。
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絲纏葉裹總紛紛,頭角應須露幾分。
只愛菱形蘸糖食,誰知粒粒盡辛勤。

許炯軒「角黍(端午の節句に食べるちまき)」1932
『詩報』第38号

鑑賞と分析:
鹸粽(あくまき)を食べたことがありますか?ちまきの葉に包まれてきらきら輝き、菱形で角が突き出ていて、粘り気があり滑らかで、グラニュー糖をつけた一粒一粒やわらかいちまきに、思わず手が伸びてしまいます。この心にしみ込む甘味が、どのような苦労を経て作られているか知っていますか?
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著者について:
許炯軒、戦後の竹社、竹林吟社のメンバーでした。

【甘党コース料理】甜粄(甘い米粉もち)

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甘いもちの香り
一口ずつかみしめる
母親の苦労が
娘の心に映っている
なのにちっとも甘くない
——張芳慈「甘いもちの味」

張芳慈「甜粄味(甘い米粉もちの味)」2001
『台湾客家文学選集 Ⅰ』
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著者について:
張芳慈の作品ジャンルは主に詩です。台湾人と文化、土地を思い、人生を映し出した感情を、繊細かつ真摯に表現しています。近年は客家語で詩を創作し、客家の文化に心を寄せた、客家詩人を代表する存在となっています。

【甘党コース料理】白甘蔗汁(サトウキビジュース)

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蔗甘原有種、葉白自成奇。
芽長滋清露、風搖動素旗。
既分姜尚鬢、微奪馬良眉。
壓搾寒漿出、如流碧玉脂。

王竹修「白葉蔗之一(サトウキビの一)」 1939
『全台詩』第22冊

鑑賞と分析:
サトウキビは赤いものと白いものに分けられ、青い皮の白いサトウキビは水分が少なくて糖度が高いです。サトウキビがバガスを残してさわやかで濃厚なサトウキビジュースに変わり、澄み切った黄色と透き通った緑が心を甘くします。
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著者について:
王竹修、字は養拙、号は虚菴、または逸叟。台中生まれ。詩を得意とし、新化の王則修、南投の張達修と並び「三修」と呼ばれています。また、書道にも携わっていたため、王石鵬、王則修と並んで「三王」と呼ばれることもあります。王竹修は詩を詠むほか、擊缽聯吟(詩会)への参加や課題詩の募集にも力を注ぎました。

【白鳥の塩振りコース料理】酸菜 (僕菜)

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コース料理の紹介:
台湾の家庭料理では、鹹蛋(塩漬け卵)、酸菜、鹹粥(塩粥)、塩豚、鹹酥鶏(台湾風唐揚げ)、鹹水鶏(鶏の塩ゆで)、鹹蛋糕(塩ケーキ)、鹹氷棒(塩アイスキャンディー)などは、重要で欠かせないものです。でもご注意!塩辛いものを食べてずっと水を飲みなさいと言っているわけではありません。塩味の中にも甘味があり、ちょうどいい塩味で後味が続くこと、それにより、あの塩振りおじさんのようにリラックスした時を過ごし、慌ただしい生活の中で穏やかな「塩味」を楽しむことができます。
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あっ!酸菜!猪血(豚の血豆腐)料理!私は嬉しくて声をあげた。酸菜、特に酸菜おばあさんの酸菜、猪血(豚の血豆腐)料理が最高で、いつも3杯は食べてしまう!おばあさんは、酸菜の水分を搾って半乾きにし、口の狭い甕に入れてから逆さまにする。これを「仆菜」という。おばあさんが作る酸菜や「仆菜」は村中で評判がよく、おばあさんは色々な場所で配っていた。

李喬「鹹菜婆(酸菜おばあさん)」1967
『晚晴』
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著者について:
李喬の作品ジャンルは主に小説で、論述や散文もあります。自身の作品の傾向を「ほとんどが、社会における一般の人々の生活の表現、自分の苦しみを訴える場所がない人の小さな代弁者」と述べており、揺るぎないリアリズムを小説で表現しています。李喬は人生の中で最も重要な作品として『孤灯』『寒夜』『荒村』を含む「寒夜三部曲」を挙げており、清朝末期から日本統治時代における民族の苦難と人間の尊厳を力強く表現しています。

【白鳥の塩振りコース料理】インゲンマメのお粥

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お粥を作りたくても、キノコ、ひき肉なんかとうてい入れられない。ラード、エシャロット、ラードの揚げかすさえあれば、もう充分。お腹いっぱい食べ過ぎてしまう。

蕭平治「菜豆仔糜(インゲンマメのお粥)」 2002
『阿爸ê鹿角薰吹』
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著者について:
蕭平治は、田中小学校の教師を退職後、彰化県国教輔導団の台湾語顧問、財団法人半線文教基金会の理事を務めています。得意分野は台湾語の教育、台湾語の文章で、台湾語による多くの作品があります。

【白鳥の塩振りコース料理】鹹氷棒(塩アイスキャンディー)

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彼は杏仁鹹氷棒(杏仁塩アイスキャンディー)を1本食べ、続けて核仁蛋黄(アーモンドと卵)味を1本食べた。悪くない。二人はスキー場のような塩山を眺めながらアイスキャンディーを舐めた。彼は、「愚公が移した山が塩山だったら、たくさんの人が担ぐのを手伝ってくれるのに」と言った。

宇文正「他説的、関於愛(愛について彼が言ったこと)」2017
『微塩年代・微糖年代』
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著者について:
宇文正 本名:鄭瑜雯。作品ジャンルは主に小説、散文です。小説で都会の男女の愛を描くことを得意とし、散文には女性特有の繊細な筆遣いが表れています。作品には有名な作家、琦君のために書いた『永遠的童話 ──琦君伝』があり、最近では、『微塩年代・微糖年代』『我是最繊巧的容器承載今天的雲(私は今日の雲を運ぶ最もデリケートな容器)』などの作品があります。

【水中遊泳コース料理】魚の皮

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コース料理の紹介:
水の中で泳ぐお魚さん~(童謡)しなやかで美しい伝説の人魚、太陽に照らされてきらきら輝くサメ、無限に広がる海には神秘的な魅力があり、私たちをひきつけます。魚の皮、魚の骨、魚のヒレ、魚の肉、海燕窩(寒天)が待っています。忘れられない新鮮な甘み!まさに神さまの傑作です!
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斑文浮點點,一片認魚皮。
冒鼓聲鞺鞳,藏弓服陸離。
蒸成鱗已脫,剔去骨無遺。
至味都包裹,真堪佐酒卮。

毛士釗「魚皮五律」清朝の道光時代(1821~1850年)
『全台詩』第5冊

鑑賞と分析:
まだら模様があるサメの皮は、太鼓の皮や弓袋に使えるだけでなく、お酒の美味しいおつまみにもなります。蒸すと鱗が落ち、骨もなく滑らかで歯ごたえがあり、ゼラチンたっぷりの新鮮な海の幸になります。
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著者について:
毛士釗 清朝の道光時代(1821~1850年)※生涯は不詳。

【水中遊泳コース料理】烏魚米粉(ボラビーフン)

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冬のボラには産卵のために泳ぎ回る十分なエネルギーがあり、また、葉にんにくが最もやわらかくなる旬の時期でもある。その2つで作る米粉湯(ビーフン入りスープ)は、まさに奇跡的な傑作だ。我が家でよく作る烏魚米粉(ボラビーフン)は、葉にんにくとボラを煮てビーフンを入れるだけ。ボラに脂が乗っているので、スープには自然に金色の魚油が浮き上がり、にんにくの香りが相まって新鮮でさわやかな味になる。

凌煙「烏魚米粉和白鯧米粉(ボラビーフンとマナガツオビーフン)」 2019
『舌尖上的人生廚房(舌の先の人生キッチン)』
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著者について:
凌煙、本名は方荘淑楨。作品ジャンルは主に小説、散文です。子供の頃、歌仔戯(台湾オペラ)の役者になることを目指しましたが、両親に反対されました。高校卒業後に家出をして念願の劇団に入りましたが半年後、台湾オペラの本質の変容を感じ、離れました。その後、当時の経験を基に長編小説『失声画眉』を書きました。凌煙は、社会現象と問題を題材に、心からの憐れみを胸に抱き、平易な筆遣いで人生のさまざまな面を描いたと述べています。

【水中遊泳コース料理】菜燕(寒天)

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菱形の「菜燕切塊(一口寒天)」は甘すぎず、そのまま食べられる。しっかりとした弾力性があり、主にトウガン茶味、黒糖味で、ひんやり、さっぱりした夏の午後の伝統的な涼しいおやつだ。

王浩一「嘉義・朴子」 2016
『旅食小鎮:帯双筷子、在台湾漫行慢食・下巻(町で食べ歩く:箸を持ち歩く台湾のスローフード・下巻)』
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著者について:
王浩一は台南市の作家で、文化人、歴史家、俠客行文創コンサルティング会社の会長です。『台南旧城魅力之旅三冊(台南旧市街の魅力の旅3冊)』『慢食府城(台南のスローフード)』などの作品があります。

【浴火重生(新たに生まれ変わる)コース料理】鍋巴(お焦げ)

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コース料理の紹介:
彼が帰ってきた!変身できるのは超サイヤ人やセーラームーンだけではありません。台湾のグルメは無限で、菜尾(残り物で作る料理)は、単に残り物という意味ではありません。究極に強化された意外な姿にきっと驚くことでしょう。勇気と揺るぎない気持ちをもって箸をしっかり握り、変身した料理と一緒にファンタジーの冒険に向かいましょう。
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鍋巴(お焦げ)に少し塩をかけ、生姜の薄切りと魚の缶詰を合わせれば、最高に美味しくなる。私はおじいちゃんに言った。「おじいちゃん、どうしてこんなに美味しいの!?」

アーロンロン・サキヌ(Ahronglong Sakinu)、「外公的海(おじいちゃんの海)」 2011
『山猪・飛鼠・撒可努 3:外公的海(イノシシ・ムササビ・サキヌ 3:おじいちゃんの海)』
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著者について:
アーロンロン・サキヌ(Ahronglong Sakinu)。作品ジャンルは主に散文、小説で、集落の生活と部族に口承されてきた古い文学を題材に創作。パイワン族の言葉を意識的に引用し、集落の生活を描きます。また、山林から都会に至るまで原住民に関わるさまざまな問題を探っています。そのほかアーロンロン・サキヌは、集落の物語を収集して本にまとめ、集落独自の文化を保存するなど、パイワン族の精神を体現しています。作品に『山猪・飛鼠・撒可努(イノシシ・ムササビ・サキヌ)』などがあります。

【浴火重生(新たに生まれ変わる)コース料理】菜尾(残り物で作る料理)

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私は子供の頃の記憶と味の感覚を頼りに食材を探し、炒める、茹でる、煮込むなどして「菜尾(残り物で作る料理)」の味を再現しようとした。
似た味にはなったが、何かが足りないような気がする。確かに「菜尾」に非常に近い味になったが、思い出の味を再現することはできなかった。あの味には、子供の頃に結婚式に参加するワクワク感、当時の心境、心や体の幼さ、さらには地域の要素や親族の物語が詰まっている。この歴史と地誌に包まれた味は、どんなに高級で、どんなに似た食材、どんなに素晴らしい料理の腕があっても再現することはできない。
「菜尾」は思い出のごちそうで、心の中の「究極のごちそう」だ。「菜尾」は食べ物であるだけでなく、歴史の味があるのだ。

方梓「歴史的味道(歴史の味)」 2008
『采采巻耳(巻耳を采り采る)』
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著者について:
方梓 本名:林麗貞。新聞『自由時報』副刊の副編集長を務めました。作品ジャンルは主に散文で、伝記、ノンフィクション小説、児童文学などの作品もあります。散文は軽快かつ活発な筆遣いで土地と人の間で温かく輝く感情を表現しています。最近の作品では「食の文学」の分野にも切り込んでいます。表面的にはさまざまな野菜や食事について語っていますが、人情や感情の美しさを物に寄せて表現するのが得意で、哲学的な意味を多く含んでいます。

【浴火重生(新たに生まれ変わる)コース料理】汽水(炭酸水)

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如波似浪送清香,沙士味奇力特強。
冰冷一瓶常在握,消炎猶可潤吟腸。

何木火「汽水(炭酸水)」1958
『亜季詩集』

鑑賞と分析:
炭酸水を飲んで元気を出しましょう。まるで海の波のように唇と歯の間に押し寄せる泡、不思議なすっきりとした味。キンキンに冷えた炭酸水は、暑さを和らげるだけでなく、詩人のインスピレーションを潤わせます。
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著者について:
何木火、字は亜季、嘉義生まれ。およそ900編の詩は、『亜季詩集』にまとめられています。内容は、詠物(自然の風物を題材とした詩歌)、風景の描写、唱酬(詩の唱和)、叙情、記事、詠史(歴史上の事柄を題材とした詩歌)などがテーマになっています。「ヘリコプター」「日曜日」「ボールペン」「プラスチックの造花」など、さまざまな新しい物事を詩に取り入れ、色とりどりの時代の姿や個人的な感情を豊かに表現しています。

【外国人もビックリコース料理】皮蛋(ピータン)

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コース料理の紹介:
世界の最もきもい食べ物に選ばれた皮蛋(ピータン)ですが、表面には非常に美しい松の枝のような結晶があります。人々をぞっと青ざめさせる苦瓜ですが、苦い後の思いがけない甘みに病みつきになります。豚の腸は食べられるだけでなく、加工食品にすることもできます。独特の見た目、味、口当たりには、無視できない強烈な存在感、不思議な美しさと美味しさがあります。
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尋常鴨卵製偏奇,食品新傳合品題。
不是霜刀探破殼,分明認得一丸泥。

李逢時 「皮蛋(ピータン)」清朝の咸豊時代(1851~1860年)の作品
『全台詩』第9冊

鑑賞と分析:
台湾の古典詩史上唯一、皮蛋(ピータン)について詠まれた詩です。ごく普通のアヒルの卵が奇妙に変化することについて書かれた初めての記録です。もし、研ぎ澄まされた包丁で殻を切らなければ、黒く透き通った中身とその中に黄灰色のペースト状のものがあることはわかりません。
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著者について:
李逢時、字は泰階、台湾宜蘭生まれ。生涯については不詳。同治4年(1865年)、李逢時は三姓械闘事件への関与が疑われ、難を逃れるために大湖荘に行きました。おそらくこの出来事が原因で、その後のキャリアは順調ではありませんでした。李氏の詩では宜蘭の風景や歴史が多く詠まれていて、作品には地域の彩りが色濃く表れ、その郷土史は、史書の不足部分を補うことができます。現在伝わっている李逢時の詩集は『李抜元遺稿』のみです。

【外国人もビックリコース料理】油燜苦瓜(苦瓜の揚げ煮)

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油燜苦瓜(油の中でじっくり煮る苦瓜)が出来上がるまでには時間がかかる。たれの香りがゆっくりと苦瓜の表面にしみ込み、苦瓜が本来もつ苦みやでこぼこした鱗のような見た目が変化し、盛り付け時にはやわらかな新しい姿になる。苦みの後に甘さがくるのは、まるでリフレッシュした人生のようだ。
朱国珍「廚房的八字(キッチン占い)」 2016
『2016台湾飲食文選』
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著者について:
朱国珍の作品ジャンルは主に小説です。「朱伊伊」というペンネームで長編の恋愛小説を出版したこともあります。作品は明るくユーモラスな筆遣いで現代の都会生活におけるさまざまな情態や不条理を表現しています。新世代の人々のさまざまな考えを探求し、命の位置づけや道を探し出そうとしています。作品に『三天(三日)』『中央社区』などがあります。

【外国人もビックリコース料理】大腸糯米(もち米ソーセージ)

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「大腸糯米(もち米ソーセージ)」とは、ピーナッツともち米を詰めた豚の大腸で、食材を言えば、日本人はびっくりするだろう。でも知らずに食べれば、きっと美味しいと感じるはずだ。食べ物が美味しければそれでいい、と思う人はどれくらいいるだろうか。だから、「この歯ごたえのある外側の皮は何ですか?」という質問はしない方がいい。
辛永清「血液料理知多少?(血を使った料理をどれだけ知っていますか?)」2012
『安閑園の食卓 私の台南物語)』
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著者について:
辛永清は台南で生まれ、長栄女子高等学校を卒業した後、日本武蔵野音楽大学別科へ留学しました。その後、自宅で料理教室を開き、料理研究家として、NHK『きょうの料理』などの料理番組や雑誌で活躍しました。「中餐西吃(中華料理を西洋式に食べる)」の第一人者で、2002年に亡くなりました。作品に『安閑園の食卓 私の台南物語』があります。

【思わず唾が湧いてくるコース料理】潤餅(台湾風春巻き)

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コース料理の紹介:
暑い夏は胃も疲れ、食欲がなくなります。でもご心配なく。潤餅(台湾風春巻き)があれば、希望は無限大です!口を大きく開けてさっぱり味を噛み締めましょう。爽やかな酸味があり、ふっくらとやわらかい金桔醤排骨(豚スペアリブ金柑ソースがけ)も一緒に。さらにキンキンに冷えた仙草氷(仙草かき氷)を食べましょう。あぁ~暑さが一気に和らぎました。この暑さを解消する「涼み方」は病みつきになります!
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潤餅(台湾風春巻き)には清明節の思い出の味があり、また、子供から大人、さらには白秋期(50代)、初老における人生の味がある。具材を並べた後、内側から外側に巻き、左右を折りたたみ、次に全体を巻く。私たち──子供も孫もお母さんやおばあさんと同じように潤餅を包んでいく。くるくる巻かれた潤餅を手にすると、まるで白く香る思い出が手から心へと伝わるようだ。

李敏勇「清明之憶、潤餅之味(清明節の思い出、潤餅(台湾風春巻き)の味)」 2015
『2015台湾飲食文選』
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著者について:
李敏勇、屏東出生まれ。作品ジャンルは論述、詩、散文、小説です。初期の作品では感情の表現が多く見られ、1969年に詩と散文を集めた『雲的語言(雲の言語)』を出版した後、徐々に現実的となり、戦争の残酷さや社会の不合理な制度についての批判が多くなりました。作品には『一個人孤独行走(一人孤独に進む)』『心的奏鳴曲:李敏勇詩集(心のソナタ:李敏勇詩集)』などがあります。

【思わず唾が湧いてくるコース料理】金桔醤排骨(豚スペアリブ金柑ソースがけ)

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澄んだ黄色の金桔醤(金柑ソース)を見ると食欲をそそられる。晩ごはんに出るスペアリブのから揚げは、金桔醤(金柑ソース)をかけて食べる。ちょっと酸っぱく、でもちょっと甘い。私もお父さんもご飯をおかわりするのだ。

彭小妍「細妹仔(女の子)」 2004
『純真年代』
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著者について:
彭小妍、雲林生まれ。作品ジャンルは論述と小説です。文学評論は、主に現代小説と男女の性がテーマになっています。小説のテーマは主に家族やマイノリティに関する物語で、新旧の時代の移り変わりにおける女性の巡り合いや精神に注目しています。古典的かつ優雅、平易でありながら繊細な作風です。

【思わず唾が湧いてくるコース料理】仙草氷(仙草かき氷)

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武巒名物醍醐味,愛玉凍堪並一雙。
玉屑玄霜相醞釀,盡教頭腦熱能降。

王炳南「仙草氷(仙草かき氷)」 1941
『全台詩』第45冊

鑑賞と分析:
嘉義で生まれた仙草氷(仙草かき氷)と愛玉凍(愛玉子ゼリー)は、まさに真夏を代表するものです。まるで天の氷と霜からできているかのように清らかな涼しさがあり、脳内の蒸し暑さを一瞬にして消し去って爽快な気分にさせてくれます。
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著者について:
王炳南、名は清閩、字は炳南、またの名は北嶼釣客、北嶼散人、海浜処士。塩分地帯における古典詩人の重鎮の一人であると同時に、北門区における古典詩の重要な教育者でもあります。

【天命に従うコース料理】蘿蔔糕(大根餅)

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コース料理の紹介:
カレンダー上にある目には見えない祭事が、それぞれ目に見える美味しい食べ物に変わります。金色のやわらかい蘿蔔糕(大根餅)は新年の縁起物。香りがよく中身がぎっしり詰まった月餅を食べる中秋の名月は円く、人々も円満に。姜母鴨(アヒルの生姜鍋)は身も心も温め、紅露酒(ホンルゥチュウ)は血液と気力を活性化させ、お腹に染みわたります。体で時節を感じ、食べることでめでたさを呼び起こします。
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糕餌炊成正月天,春盤流盡老饕涎。
香甘好下屠蘇酒,片片山妻手自煎。

伝錫祺「年糕之二(年糕(旧正月に食べる餅)の二)」 1911
『全台詩』第21冊

鑑賞と分析:
旧正月の餅づくりの香りは食欲をそそり、火の色に染まった蘿蔔糕(大根餅)は美味しく、正月の祝い酒にもよく合います。
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著者について:
伝錫祺、台中生まれ。『台湾新聞社』の編集者を務め、1906年に櫟社に参加。その後、何度か代表を務めました。新文学のムーブメントが高まった時代においても、伝統的な伝唱と吟唱にこだわりつづけました。作品には『鶴亭詩集』があります。

【天命に従うコース料理】月餅

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微軀秋後最驚風,十月綿衣苦未縫。
燉得隔年紅面鴨,茶油薑酒補三冬。

林知義「中秋竹枝詞之三」日本統治時代
『全台詩』第41冊

鑑賞と分析:
中秋節には月餅を食べます。豊原の月餅は雪のようにふわふわで、新竹の月餅は特に甘い香りがします。月餅は広東風と福建風で作り方が異なるため比較できませんが、あえて言うならば、肉の餡が入った月餅は、蓮の実の餡が入った月餅には敵いません。
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著者について:
林知義、字は問漁、幼名は義津、号は寒泊、別名は遂園未叟、台湾新竹生まれ。背が低く、幼い頃から学校へ入ったので、当時「秀才の子供」と呼ばれていました。乙未戦争の際には、日本軍による平定に協力しました。園芸、書道を嗜み、有名な書道家でもあります。『林知義手鈔(林知義手記)』一冊、『歩礼亭小稿(歩礼亭原稿)』一巻などの作品が保存されています。

【天命に従うコース料理】アヒルを食べて体を養う

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微軀秋後最驚風,十月綿衣苦未縫。
燉得隔年紅面鴨,茶油薑酒補三冬。

林緝熙「辛卯秋冬雑詩之二」 1951
『全台詩』第47冊

鑑賞と分析:
秋になると、弱い体に風霜がこたえますが、寒さをしのげる服はまだできていません。肥えたアヒル、茶油、お酒、生姜を鍋で煮込めば、ひと冬を暖かく過ごせます。
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著者について:
林緝熙、字は荻洲、嘉義県生まれ。茂才(科挙の科目)の林慎修の子で、「玉峰吟社」で重要な役割を果たしました。晩年は故郷に戻り、吟詠を続けながらその生涯を終えました。彼の書斎は「楽山書屋」と呼ばれています。

【天命に従うコース料理】紅露酒(ホンルゥチュウ)

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杯中美色奪桃花,妙釀如斯有幾家。
不但麴生風味好,且教縱飲若餐霞。

許柱珠「紅酒(アンチュウ)」1933
『全台詩』第51冊

鑑賞と分析:
紅露酒(ホンルゥチュウ)の色沢は桃の花より艶やかで美しく、絶妙な味わいだけでなく、飲むと空を飛ぶ仙人のような気持ちになります。この詩は当時の紅酒専売制度に合わせて書かれたものなので、詩人は、「お酒を飲み過ぎたら天に上って仙人になる前に人生が終わる」とは言えなかったのでしょう。
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著者について:
許柱、字は席珍。淡水県基隆庁三貂堡(現在の新北市双渓区)生まれ。大正13年(1924年)に周士衡、連文瑫、荘木炎などと「双渓吟会」を設立し、昭和3年(1928年)に「貂山吟社」と改名。代表を2度務めた、「貂山吟社」における重要人物です。詩は『台湾日日新報』『詩報』などに収録されています。

【ゆっくりコース料理】スープ

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コース料理の紹介:
何十年にも渡り忙しい人生。お腹を満たすためだけに一体何度、急いでかき込んできましたか?そろそろ歩みを止め、呼吸を整えて、ゆっくりとしたペースでいきましょう。沸騰したお湯の中で次第に透明になっていくトウガンは、人生のさまざまな面を露わにします。温かく煮込んだ濃厚なスープ、時間と記憶が蒸留した高粱酒は、じっくり味わって舌先で芳醇なスローライフの味を感じる価値があります。スローライフとは食べること、考えることであり、自分の生命力を活性化させるという姿勢です。
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スープのベースは時間をかけて作られ、その時間が後味を長引かせる。最も労力を必要とするのは、実は食材との忍耐強い対話である。

米果「湯頭是熬煮的心意不是化学添加的魔術(スープは気持ちが煮詰まれたもので、化学添加物による魔法ではない)」 2015
『一個人的粗茶淡飯(一人の粗茶淡飯)』
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著者について:
米果、台南生まれ。ライター、小説・エッセイ作家。インターネットのヘビーユーザーで、野球と日本の推理小説を好みます。作品には『台北・同棲生活』『如果那是一種郷愁叫台南(あの郷愁を台南と呼ぶならば)』があります。

【ゆっくりコース料理】冬瓜盅

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私はその時一人で、薄く切られた一枚のトウガンを持って帰り、母親がしていたように料理した。私がひそかにイメージしていたのは、複雑でありながら美しい冬瓜盅だ。私は時々、料理をすると透明になるトウガンを羨ましく思う。人生、あとどれだけ料理すれば透明性がでてくるのだろう。

張曼娟「一片薄薄的冬瓜(一枚の薄いトウガン)」 2004
『黄魚聴雷』
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著者について:
張曼娟の作品ジャンルは主に散文と小説で、論述や児童文学もあります。最初の作品『海水正藍』を出版してから20年間にわたり中国語圏のベストセラー作家となっています。短編小説が創作のベースですが、近年は児童文学の分野にも参加して古典文学の普及に力を注ぎ、古典文学に現代のスタイルを加えています。

【ゆっくりコース料理】金門高粱

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砲火での蒸留のみで酒の味が明確になり、
その一滴ごとはまるで銃剣を舐めているかのようである。

飲めば驚くほどの焼ける熱さが歴史の胃袋に流れ込み、
その感覚が首や耳へ沸き上がってくる。
金門の輝きと悲しみの感覚が。

白霊「金門高粱」 2000
『昨日之肉──金門馬祖緑島及其他(昨日の肉──金門、馬祖、緑島、その他)』
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著者について:
白霊は若い頃、葡萄園詩社、草根詩社に参加していました。詩は文明への内省、悟りの境地から当時の情勢におよび、同時に社会現象への批判、生活、大自然、SFなど、どんなテーマについても書きました。瘂弦は、白霊の詩は「落ち着いた筆遣い」「巧みな構文」が特徴的であると述べています。『沒有一朶雲需要国界(雲は国境を必要としない)』『白霊世紀詩選』などの作品があります。

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